
紹介:広山詞葉 聞き手:宮原奨伍
広山詞葉(以下、広山) それでは今回は“広山詞葉”のターンですね!よろしくお願いします。
宮原奨伍(以下、宮原) よろしくお願いします!
広山:今回ご紹介するのは、つかこうへい『女優になるための36章』上・下巻についてお話ししたいと思います。
宮原:上下巻に分かれてるんですね。
広山:実は今回のこの本は、紀伊國屋演劇賞で女優賞を受賞された林田麻里さんからおすすめして頂いて、読んだんです。
宮原:そうなんですね!
広山:麻里さんは、若い頃つか作品が大好きだったらしくて、その頃にすごく熱狂していて、「私はその世代だから分かるんだけど、自分より若い世代もなぜつか作品が人気なのかを知りたい」とおっしゃっていて、この本をおすすめしてくださったんです。
宮原:素敵ですね!
広山:はじまりは、つかさんの姪っ子の16歳の‟さなえちゃん“が、つかさんに「女優になりたいです」と手紙を送ってくるところから始まるんです。
宮原:はい。
広山:つかさんは「おじさんがびっくりしてます」「じゃあ女優になるためには何が必要なのか」ってことを書いた36章、という体なんですけど、私は春から『つかこうへいを知る旅』をしてきて、これが果たして本当なのか分からない!(笑)
宮原:そういうエンタメとして作られてるっていうね(笑)
広山:設定として、さなえちゃんのお父さんが“女優と駆け落ちした”という背景になっていて、これはもう、フィクションですよね?!
宮原:そうですね(笑)
広山:そこから“女優がいかにタフか”という話に入っていくんですね。初めのタイトルが「女優さんは体力です」ですからね。
宮原:タイトル(小見出し)だけでもばーっと聞きたいです!
広山:タイトルも魅力的ですよ。「女優さんは体力です」/「名刺の謎」/「女優さんには毒の華が必要です」/「女優とは男をだます職業です」/「甘える女は女優さんにはなれません」/「いい女優さんは男の心を少年にします」/「演技とは人を信じ、いとおしく思う力のことです」/「タフでなければ女優さんにはなれませんが、優しくなければ女優さんになる資格はありません」「役者さんには狂気がなければいけません」/「松田聖子は現代のジュリエットです」「声の話」などですね。
宮原:面白いですね!「演技とは人を信じ、いとおしく思う力のことです」と「声の話」がぼくは気になりました!
広山:「演技とは~」の章では、長与千種さんの話をしてますね。
宮原:『リング・リング・リング』の話ですか?
広山:それも書かれていますね。この章で印象的だったところは「女優さん、男優さんに限らず、良い俳優に絶対欠かせない条件の一つは、とりあえず目の前にいる人間を100%信じることのできる能力です。でも、これはもしかしたら才能ともちょっと違う、何か人として無償に生きるためのエネルギーのようなものなのかもしれません。」と書かれているところですね。
宮原:そこだけでもこの章の魅力が伝わってきますね!「声の話」の方では?
広山:こちらはですね、富田靖子さんについて書かれていますね。
宮原:あ、これは章によってそれぞれ俳優さんが登場するんですか?
広山:そうです!ここも面白いですよ。「今回は面白くないかもしれませんが、いい女優さんになるには日頃、どういう訓練をしていればいいですか?といった内容のお便りが沢山届くのでその質問にお答えする。」と書かれていて。
宮原:はい。
広山:「いい女優さんになるためと一言に言っても、色んな要素が必要です。まず第一にはセンスだと思いますが、僕はそのセンスを作るのは「声」じゃないかと思っています。」とつかさんは書かれていますね。
宮原:声なんですね!
広山:これね、すごい面白かった。ここで腹式呼吸の話とかもしていたりとか、結局抑揚とかではないんだよっていうこととかも言っていて、勉強になりましたね。
宮原:どんなことが書かれているんですか?
広山:読みますね。
宮原:お願いします。
広山:「僕は役者さんが思いっきり大きな声を張り上げている時の血走って潤んだ目がとても好きです。一瞬にして命が燃え尽きる瞬間というか。お芝居という虚構の中での真実というか。そういう嘘のない感じをお客さんはきっと感じ取ってくれていると思うのです。しかしまだ台詞を上手く言うということは、イントネーションを工夫するということだと愚かな勘違いをしている人も沢山います。気持ちをどう伝えるかなんてつまらない考えは必要ないのです。相手をしっかりと見据え、堂々と喋ることです。そうすれば相手が勝手になにか感じ取ってくれます。」
宮原:なるほど。
広山:ここは凄い深く納得しましたね。
宮原:そうですね。
広山:女優になるための36章と言いつつ、この本の中には『熱海殺人事件』や『売春捜査官』を演じる上で、凄く大切なことがいっぱい入ってるなと思いました。
宮原:下巻もそういう流れなんですか?
広山:下巻はミュージシャンが沢山出て来るんですよ。
宮原:女優になるための36章という本なのにミュージシャンなんですね?
広山:そうなんです。タイトルだけでもよくわかりますよ。「小泉今日子と中山美穂」/「中森明菜さんのこと」/「尾崎豊さん」/「CHAGE&ASKAに泣く」/「ドリカムが教えてくれた」/「平松愛理さんと結婚」/「沙也加ちゃんからの手紙」/「藤井フミヤさんへ、尚之さんへ」/「中山美穂さんの神秘」/「内田有紀さんの愛らしさ」「木村拓哉さんの輝き」などですね。
宮原:どういうことなんですか?(笑)
広山:例えば、尾崎豊さんの章でいうと「僕が思う尾崎さんのイメージは、真っ白なTシャツにジーパンです。いい舞台がそうであるように、派手なメイクや煌びやかな衣装、色鮮やかな照明は必要ありません。尾崎さんにはマイクとギター一本でいいのです。」と書かれていて、まさに『熱海殺人事件』の部長机一個でいいっていう哲学と似てるなって思いました。
宮原:そうですね!
広山:そのようなことが上・下巻に渡って書いております。
宮原:これは女優になるためと書いておりますが、俳優の方にもおすすめということですね。
広山:はい。とても読みやすい本ですので、おすすめです!
宮原:ぼくも読んでみます!
広山:ぜひ!
宮原:本日は「女優になるための36章」上・下巻でした!
広山:ありがとうございました!
宮原:ありがとうございました!



